白馬岳といえば、大雪渓。
雪面を吹き渡る風は涼風なので、暑さを感じるとこなく登れるだろうと思い、
計画に至った。
そして雪渓の上部にはお花畑。
白馬三山の白馬槍ヶ岳から槍温泉にかけての大出原にも
一面のお花畑があるので、今回は久しぶりのデジタル一眼を装備した。
コースは猿倉-大雪渓-白馬岳-杓子岳-白馬槍ヶ岳-大出原-槍温泉-猿倉
「山と高原地図」ではコースタイム15時間であるが、日帰り装備で
コンロや食器も持たないので、ザック重量はカメラ・アイゼンを入れても10kg以下。
目標所要タイム12時間だ。
登山口である猿倉にはAM0:00ちょうどに到着。
なんと富山市内からなら2時間少しなのだ。
この時間は、大阪の自宅から奈良・大峰へ行く時の所要時間と同じ。
富山に住んでいると、北アルプスが十分日帰りで楽しめるのである。
少し車の中で仮眠し、
AM3:15 猿倉出発。
しばらくは真っ暗な中を林道歩き。
やがて登山道に変わってしばらくするとお出迎えの標石。
AM4:00 白馬尻到着
ここから少し登れば雪渓に降り立つ。
軽アイゼンを富山に持ってこなかったので、10本爪アイゼンを装着。
早朝の雪渓は凍っている箇所が多く、逆に10本爪の方が有効だったようだ。
アイゼンの爪がよく雪面に食い込む。
先週の長次郎谷よりも雪の締り具合がいい感じ。
雪渓にはルートの目印として旗竿に赤いリボンや、紅ガラが撒いてあるのだが、
暗いためにそれが確認出来ない。
とりあえず、雪渓の真ん中を登っていくと・・・・
斜めに走る深いクレバス出現。
先週の悪夢が蘇ってくる。
そのクレバスの幅は雪渓の端から端まであるようで、
越えていけそうな箇所が見当たらない。
そういえば、3年前に息子とここを登った時に、
しばらくは右岸のガレ場を歩いたような記憶が蘇る。
一旦雪渓を下り、右岸に寄るとなにやらルートらしきものが。
そして赤ペンキやロープも発見。
その先にも数か所大きなクレバスがあり、
暗闇での雪渓歩きは注意が必要です。
その後はいいペースで雪渓を登っていく。
雪面を吹き渡る風が気持ちいい~
ほとんど汗をかかないで済む。
だいぶ空が明るくなってきたが、見上げる空は曇り空。
平野では連日の晴天が続いているようだが、
高所山岳地では大気の状態や湿気が多いので、
どうも天候が優れないようだ。
沸き立つ雲。
背後を振り向くと、オレンジに染まる空。
雪渓の雪面もオレンジに染まる。
美しい光景だ。
大雪渓には多くの落石。
耳を澄ませると時折、周囲の谷筋からの落石の音も聞こえる。
雪渓歩きも終わりを迎え、
AM6:05 岩室跡に到着。いいペースだ。
振り返る大雪渓
ここからはお花畑がお待ちかねです。
少しガスがかかるも、見事な咲き具合。
まず目を引くのがクルマユリ
黄色いのはミヤマキンポウゲかな
タカネナデシコ
色んな高山植物が咲いてますねぇ~
AM7:20 白馬山頂宿舎到着
AM8:05 白馬岳到着 ガスでまったく視界なし。
本来ならば、ここからの白馬三山稜線歩きが楽しみだったのだが、
あいにくのガス模様。
ひたすら歩きます。
杓子岳周辺は小さなガレ場のトラバース。
西から吹きつける強風にガスで顔がびしょ濡れに。
ようやく見つけたコマクサ
今年は裏年なのだろうか。ここ以外ほとんど見つけることが出来なかった。
AM9:40 白馬槍温泉への分岐
ここを降りればもう一つのお花畑だ。
このあたりで朝、白馬山荘を出発した人達が多くなってきた。
皆、カメラを片手に写真撮りに忙しい。
チングルマの果穂
風に揺れる様がいい感じなのだ
こちらのチングルマはまだ咲いている
ハクサンフウロ
なだらかな広い斜面の一面に咲く、高山植物
なんとも美しい光景だ。
岩場を越えて、前方に白馬槍温泉が見えてきた。
その向こうには小日向山
雪渓にはまだ多くの雪が残り、大きなシェルンドが口を開けている。
先日、このコースから転落死亡事故があったそうだ。
AM11:10 白馬槍温泉到着
足湯で疲れを癒し、ラストスパートに備える。
30分の長い休憩を取り、猿倉を目指す。
AM11:40再出発。
しばらくは雪渓を下っていく。
3年前に来たときは雪渓際の斜面を下って行ったのだが、
今年は雪の多いためだろう。
このあたりからは白馬三山がよく見えるというのだが、
わずかに稜線近くにガスがかかり、その全容は見ることが出来ない。
それでも荒々しい岩肌の斜面がアルプスらしさを思わせる。
その後、いくつかの雪渓をトラバースし、ガレ場を過ぎる。
杓子沢のトラバースは少し緊張。
そしてルートは樹林帯へと入っていくが、
ここからもルート沿いの花たちが見る目を楽しませてくれるのである。
高山植物とは違い、少し背の高い草花であるが、なんとも美しい。
AM12:50 小日向コル
ここを越えればゴールも近い。
もう少し雲が取れれば白馬岳山頂が見えるのだが。
PM1:50 猿倉に戻ってきました。
11時間弱で、予想外に短時間での周回で歩くことが出来た。
稜線付近では天候も悪く、あまり景色を楽しむことが出来なかったので
時間短縮となったのだろう。
最初はコースタイム15時間のコースをどれだけで歩くことが出来るだろうかと
未知数であったが、やはり背中の荷が軽いと、足の動きもよく、
効率よく歩くことが出来たのであった。
膝についても、テーピングを施した上に、サポートタイツを履いていたので、
下山まで全くの膝痛が起こらなかった。
これはもちろん、ザックの荷が軽いことも大きく影響していることだろう。
短時間での日帰り縦走ではあったが、大雪渓、お花畑、足湯と
楽しみが多い中でのこのコース、
富山の地の利を生かした山歩きだった。
あなたにおススメの記事