昨年の11月、白山での山スキーで出会ったsanchanさん、
そしてそのヤマレコ仲間であるNishidenさんが企画された
今回の山スキーツアー。
その企画に私も参加させていただいたのであった。
今回の企画の最大の魅力は、
立山アルペンルートが弥陀ヶ原までの部分開通であるということ。
弥陀ヶ原から天狗山~国見岳~浄土山へと稜線を辿り、
翌日は雄山へ登り、憧れの山崎カールを滑り降りるというのである。
氷河地形のカールを滑り降りるというだけで、
なんともテンションが上がりそうなものである。
さらにアルペンルートが部分開通であるため、
おそらくまだ誰も滑っていない斜面を独占できるであろう、
そのことが最高の状況を愉しめることだろう。
期待が膨らむのであった。
4月11日、立山駅にはほとんど人がいない。
我々以外にスキー道具を持った人は一人のみ。
それ以外は数人のトレッキングや観光、そして工事関係者のみ。
早くも貸切状態の立山が予感された。
弥陀が原へ到着後、いきなり稜線へのシール登行。
登り始めは大日岳もはっきりと見えているようだ。
昨晩、薄らと積もった湿雪にシールの効きが悪い。
急斜面でのジグを切りながら、厳しい登行を繰り返す。
おまけに辺りはガスで真っ白。
状況としてはかなり悪い状態。
そんな中、redsronさんが体調不良を訴え、
残念ながら下山となってしまった。
その後もガスの中を辛いシール登行を続けて、
天狗山、国見岳を通過していくと、
標高が上がったこともあり、ガスが薄らいできたようだ。
浄土山への登りは本日最後の急勾配。
クトーも効きが悪く、苦行のシール登高であった。
振り返るとなんと雲海が眼下に見えるではないか。
一気にテンションUP!
最後はスキーを担いでアイゼン登行で浄土山へと登り上げた。
photo by sanchan-san
そこから見えたのは、
「この世の最上の景色、天国のような景色。」
ここは浄土山であった。
ゆっくりと躍動する雲海、照り付ける太陽、
そして北には剱岳と雄山。
南には眼下に五色ヶ原、その先には薬師岳から
槍ヶ岳への超大絶景が広がっていた(トップの写真)。
なんという贅沢な時間、
この瞬間を引き当てた幸運に感謝をするのであった。
今夜の泊りは、浄土山南峰の富山大学研究所であり、
同行のNishidenさんが大学関係者であることから
泊ることが出来たのである。
小屋のノートには宿泊者が記帳することが義務付けられており、
それことが我々が今年の一番乗りであることを証明していた。
夕食の準備を済ませ、一旦小屋の外へ。
そこには奇跡のような光景が・・・・
染まる剱岳と雄山
五色ヶ原と薬師岳
アーベンロートにすべての山嶺がオレンジ色の染まっていたのであった。
小屋内でのプチ宴会、みんなで持ち寄った食材とお酒を愉しみ、
夜は更けていく。
就寝前に満天の星を愉しみ、この日はお休み・・・
photo by sanchan-san
翌日4月12日、空は快晴、予想以上の好天気にテンションは上がったままだ。
雄山の山影からのご来光
まずは一の越までの大斜面を滑り降りる。
表面はややカリカリであるが、エッジもなんとか効くので
気持ちいいターンが真っ白な斜面に刻まれていく。
動画はこちら
一の越から雄山への登り、スキーを担いでアイゼン&ピッケル登行。
慎重に足を運び、雄山へ着いた。
photo by Nishiden-san
ここからは後立山連峰の絶景も楽しめた。
そして最大のイベント、山崎カールの滑降だ。
上部の最大斜度は40度ほど。
クラストしている箇所もあるが、エッジの切り返しが気持ちよく決まる。
ファーストトラックを刻むsanchan
photo by sanchan
なによりも面ツルの真っ白な斜面が最高に気持ちいい。
振り返るとカール地形を滑ってきたんだというのがわかる。
3本目を刻むNishiden-san
室堂へと滑り降り、
ここから再び天狗山山頂へシール登行だ。
開通前の無人の「雪の大谷」
昨日とは違い雄大な地形が高度を上げるほどに臨める。
天狗山手前のコル、南側は立山カルデラに大きく切れ込んでいる。
稜線を辿り、天狗山へ着くと、偶然の出逢いが待っていた。
昨年末、取立山で一緒にラッセルを愉しんだミラーさん達だ。
なんとNishidenさんもsanchanさんともお知り合いとのことで、
楽しい会話が弾むのであった。
弥陀ヶ原の絶景を見下ろしながらの大滑降、
そしてその弥陀ヶ原の大雪原を高原道路沿いに滑り降りていく。
右手には悪城の壁と呼ばれる絶壁が迫ってきた。
この辺りから滑り降りるのも苦行となってくる。
途中、大観峰では称名滝を初めて見るアングルで堪能し、
美女平へと滑り降りていった。
体力、気力ともに目一杯の二日間であったが、
それ以上に立山の美しい景色と劇的な天候の好転に
山スキーならではの魅力を満喫出来たのであった。
企画されたNishidenさん、そして同行された皆さんへ
感謝の気持ちと感動を共有出来たことにお礼を申し上げます。
あなたにおススメの記事