残雪の尾瀬・燧ケ岳へ
真っ白な尾瀬沼から見た燧ケ岳は静寂に包まれていた。
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東京長期出張もあとわずかとなり、
この機会に絶対登っておきたい山は決まっていた。
「燧ケ岳」
言わずと知れた尾瀬のシンボル的存在であり、
その山容は独立峰特有の美しい円錐形を成している。
ガイドブックなどでも必ず尾瀬ヶ原のバックには映っている山である。
GWともなれば、冬期通行止めの道路も開通となり
登山者ばかりでなく、観光客も一気に押し寄せる尾瀬。
目当てはミズバショウらしいが、そんな人の多い尾瀬にはあまり興味ない。
私の心を動かすのは誰もいない静かな尾瀬、トレースのない雪原が広がる尾瀬である。
4月16日AM2:40、大清水を出発。
林道にはほとんど雪がなく、一ノ瀬を過ぎたあたりでようやく雪を踏む。
途中まであったトレースもなくなり、ここからは誰もいないということだ。
三平峠でようやく空が白みだした。
急いで下り尾瀬沼に降り立つ。
結氷した尾瀬沼は真っ白な雪原となり、
その対岸にそそり立つ燧ケ岳の雄姿。
何度も写真で見た風景であるが、
こうして目の前に広がる風景に勝るものはない。
見渡す限り人の気配はなく、朝の静寂に包まれていた。
前日の僅かな降雪と風によりトレースがリセットされ、
この大自然を独り占めした気分だ。
長蔵小屋を過ぎ、長英新道へと進む。
ワカンを装着し、緩やかな斜面を登っていく。
徐々に勾配を増し、振り返ると先ほどまで居た尾瀬沼が遥か眼下だ。
森林限界を越え、見上げる先には俎嵓が見えてきた。
ワカンからアイゼン、トレッキングポールからピッケルと装備をチェンジし、
まずは俎嵓に着いた。
ここからは東の山々が一望だ。
会津駒ヶ岳や那須の山並み。
隣りの柴安嵓の背後には尾瀬ヶ原と至仏山が見え隠れしている。
早く向こうからの景色を見たい・・・
柴安嵓へは50度近い雪面を登らなければならない。
南斜面のため雪が緩むのも早く、アイゼンの効きがいまいちだ。
両手、両足をフルに使い、
AM9:00 燧ケ岳・柴安嵓に立つ。
西側には待望の尾瀬ヶ原の景色。
そしてその向こうには至仏山の頂。
2週間前、至仏山に立った時にはこの反対側から見た景色は見れなかった。
真っ白いガスに覆われた至仏山山頂で、
近いうちに必ず尾瀬ヶ原をみてやると思っていたのである。
今年の尾瀬ヶ原はかなり雪が少ないようだ。
例年なら尾瀬沼同様に一面、白くなっているそうだが、
それでもこの景色はここまで来た者にしか見れないから格別だ。
南には尾瀬沼越しに日光白根山が頭を覗かせている。
帰路はナデッ窪を滑り落ちるように下っていく。
山スキーなら最高の斜面だろうな。
沼尻から振り返る燧ケ岳。
何度も振り返ってしまう。
三平下で燧ケ岳を眺めながらのランチタイム。
解け始めた水面に映る燧ケ岳が春の訪れを感じさせていた。
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