福井市内にも40センチほどの積雪をもたらした冬型気圧配置が緩み、
気温の上昇も見込まれた2月11日。
国道158号線の仏原ダムの畔に車を駐車し、ハイクアップの準備を行う。
今日のメンバーはふじもっちゃん、のだっち夫妻、ノリコさん、そして私テカポの5名だ。
この日はふじもっちゃんと私だけがスキーで、他の方はボード・スノーシューでのハイクアップなので
我々二人が先頭ラッセルを交代で頑張っていきましょう。
「仏御前の滝」の看板を目印に登り口を探すが、折からの降雪により路肩は除雪された雪の壁状態で、
ショベルを出して雪の壁を切り崩し、壁上部に出てからのスキー板装着となった。
AM7:00 シール登行開始
沢の渡渉ポイント探しが最初の難関。
何とか雪がつながっている箇所を見つけて、そこからは北東尾根へと急な斜面を登行する。
スキーブーツ上くらいのラッセルだが、後続のスノーシュー組はそのトレース上でも
さらに20センチほどは沈みこんでいるようで、体力が消耗されるようだ。
送電線の鉄塔まで登り上げた。
ここからは少し勾配も緩くなる箇所もあり、少しは楽になるかな。
振り返るとダム湖が美しい。
すでに高度感たっぷりで、山スキーの醍醐味が味わえる。
ここからは尾根沿いなのでルート選択に迷うことはない。
周囲の景色は一面のブナの林で、見通しがいい。
復路に滑る予定の左手の斜面もよく見えているが、
なんと気持ちいい感じのシュート状の面が広がっているじゃありませんか。
樹々の間隔もいい具合で、雪崩の心配も少ない感じだ。
標高1000mを越えてきた辺りでブナの大木近くなどで頻繁にスノーシュー組が
雪の落とし穴に捕獲されてしまっているではありませんか。
酷い時には体が完全に穴に落ちて、背負ったボードだけが雪面に見えている状態。
場合によってはこれは非常に危険な状況になるであろう。
前方を見上げて立ち止まっているふじもっちゃん、その視線の先には巨大な雪庇。
この標高でこれだけの雪庇が発達するなんて北陸の雪山の脅威を感じるのである。
次第に高木の樹木が少なくなり、突然視界が開けるようになってきた。
そろそろ小ナベが近いようだ。
それと同時に雪面の様子も変わってきたようで、
尾根の風上側は橋架谷を吹き上がってきた風に磨かれてカリカリになっている。
スキーのシールが効かなくなってきたので、すぐさまクトーを装着するが、
それでも慎重な登行をしないと滑落の危険がすぐそこにある状態だ。
狭くなってきた尾根をジグを繰り返しながらシール登行をしていく。
尾根の雪の状態は風上側はカリカリ、そして風下側はウインドスラブのような雪面であった。
そんな状態の尾根の風下側でジグを切ろうとした時、「グフッ」という音が聞こえた。
この音は「ワッフ音」であろうか。
ウインドスラブなどが形成された層とその下の層との結合が弱く弱層となっている場合、
わずかな刺激によりスラブがずれて、一気にスラブ全面に割れが生じて破断・崩壊する。
そのスラブがずれた時に聞こえるのが「ワッフ音」なのである。
知識としては知っていたが、実際にその音を聞いたことはない。
だからその音を最初に聞いた時はいまいち緊迫感が迫っていなかったのである。
さらにシール登行を続けていくと、先頭のふじもっちゃんのスキーの片方が
ウインドスラブに入った瞬間、
「グフッ!!」
そして次の瞬間、雪面全体に亀裂が走り、一気にブロック状の雪が雪崩れていったのであった。
咄嗟の判断でふじもっちゃんは後方へ座り込んで、巻まれるのを防いでいたのはさすがである。
ふじもっちゃんのスキーの先の雪が崩れ落ちていた。
見上げると上方5~6m先に50センチはあろうか破断面が見事に見えていた。
急いで安全な雪面に避難し、本日のこれ以上の登行は中止とした。
山頂まであと標高差150mであった。
小ナベ直下から見下ろす大野市街の雪景色
PM1:00 滑降開始。
尾根の風下側を避けて、一人一人間隔をあけて滑り降りていく。
樹林帯に入ったあたりで、少し安心感が戻ってきた。
しかし、巨大雪庇や雪の落し穴があるので、先頭が滑った後、
下から無線で安全なルートを指示しながら慎重に滑りおりる。
ダム湖へめがけて滑り降りていく感じが最高に気持ちいい。
シュート状の谷まで降りてきた。
昼を過ぎたが、まだいい雪の状態を保ってくれていた。
気持ちいいターンを刻んでいく。
だいぶ標高を落としてきたようだ。
谷が深くなり、落し穴が至る所にあるので慎重に滑り降りる。
沢を渡渉し、ようやく国道が見えてきた。
初めての目前での雪崩との遭遇。
昨日までの多量の降雪と今日の気温上昇によりあらかじめの予測はしていたので、
橋架谷の滑降は恐らく無理であろうと推測はしていたが、
まさか尾根であれだけの雪崩に遭遇するとは思っていなかった。
雪崩れに関する知識と予見、雪山に入るということはそれらを十分に得て感じ取ることが
大切なんだということを再認識した一日であった。
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