白き岩峰の装い 八ヶ岳・赤岳へ
降雪直後の八ヶ岳へ
厳冬期のその姿を見ることが出来たのであった。
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ヘッ電の光軸に浮かび上がる一人分の
トレースを追うように深夜の林道を歩いて行く。
昨日にわずかな降雪があり、
凍結したルートの上にうっすらと新雪が積もっているので、
美濃戸から12本爪のアイゼンを装着した。
見上げる空は雲間から星も覗き、
今日の好天は間違いないだろう。
月齢19の月が明るく林道を照らしてくれるおかげで
思ったよりも早く北沢ルートを歩けた。
AM5:00 赤岳鉱泉に到着。
名物・アイスキャンディーはまだ闇の中に沈んでいる。
この先の行者小屋までひと頑張りして大休止しよう。
行者小屋では多くの方が準備の最中であった。
ハーネスにぶら下げたカラビナの音が早朝の空間によく響く。
中にはモルゲンロートの瞬間を狙って三脚を立てる人も。
私も行動食を補給して、赤岳アタックの装備を身に着ける。
オーバーパンツ、ヘルメット、ピッケルをザックから取り出した。
バラクラバも被り、防風対策にゴーグルも装着だ。
12本爪アイゼンのバンドの締め具合を再チェックし、
AM6:10 アタック開始。
先行者につられてややハイペースになってしまい、汗を掻いてきた。
ドライレイヤーを着ているとはいえ、
汗冷えはゼロではないのであわててペースを落とす。
時折振り返りながら周囲の稜線のモルゲンロートに見入る。
昨日の降雪により横岳の岩峰も白化粧し、オレンジに染まっている。
美しい瞬間に間に合った。深夜2時過ぎから歩いた甲斐があった。
森林限界を越え、勾配が急になってきた。
汗を掻かないように、はやる気持ちを抑えながら登る。
アイゼンがしっかりと雪面を捉えているのを
確認するように足を進める。
緊張もするが、楽しい時間でもある。
足を止め、息を整える。
周囲の景色は溜まらない景色だ。
早く山頂へ着いて、全展開の景色が見たい。
山頂直下の岩場にはしっかりとした
階段状のステップが刻まれ、問題なく登れるようだ。
AM7:40 赤岳山頂。
昨年の秋、初めてこの頂きに立ち、
次は厳冬期に登ってみたいと思った。
なんとか2月中に間に合った。
今年は雪も少ないが、一応厳冬期ギリギリセーフかな。
見渡す景色は秋に見たものとまるで違った。
南には甲斐駒ケ岳や北岳。そして富士山。
麓がうっすらと霞んでおり、まるで宙に浮かんでいるようだ。
北には浅間山、その左には北アルプスの連なり。
真っ青な空の下で展開される絶景にしばし魅了される。
もっと景色を楽しみたいが、風もそこそこ強いので、
体が冷えないうちに地蔵尾根へ向けて下山を開始する。
地蔵尾根との分岐の手前、二人の登山者のうちの一人の視線が
私に向けれる。私もバラクラバのフェイスを開け、ゴーグルを上げる。
お互い顔を認識し合う。
山友・COOPERさんとの2年越しの出合いである。
がっちりと握手を交わし、しばらくの談話が繰り広げられる。
記念写真を撮り、奈良・大峰での再開を誓う。
地蔵尾根は小さいながらもナイフリッジもあり、
慎重に下っていく。
対向する登行者が多く、思わぬ時間ロス。
赤岳鉱泉で装備チェンジと行動食・コーヒータイム。
休憩後、足早に美濃戸口を目指す。
冬靴での長い林道歩きが辛いが、気分は晴れやか。
久しぶりの雪山に大満足感一杯なのであった。
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