3月9日の未明、雨が降り出した国道19号を快調に走る。
木曽福島を過ぎ、藪原で国道から外れる。
野麦街道に入るとすれ違う車は全くなくなった。
峠道に差し掛かったあたりで雨は上がってきたようだが、
ヘッドライトに照らされた路面には薄らと白いモノが浮かび上がる。
野麦街道を走ること1時間、梓湖の湖面がナビ画面に確認されると、
程なくして国道158号との交差点を左折。
ここにきてようやく対向車とすれ違った。
乗鞍高原方面に車を進める。
路面には雪がなく、高原へ向けて愛車はぐんぐんと標高を稼いでいく。
AM2:40 乗鞍高原国民休暇村駐車場到着 360km 5時間の深夜ドライブであった。
サンルーフから見上げる乗鞍の夜空には雲の切れ間から星が瞬いている。
明日はいい天気になりそうだ。急いでシュラフに潜り込む・・・・
AM6:50 休暇村出発 標高1600m
本日のコース(帰りは滑りのためログ間隔が飛んでしまってます)
駐車場からもわずかに望むことの出来る乗鞍岳山頂付近は、
雪煙が舞い上がっているのがわかる。
予報通り今日は強風との戦いになりそうだ。
整備の終わったばかりのゲレンデをシールを効かせて登っていく。
乗鞍高原スキー場のリフト運行開始はAM8:30
今日の日中の最高気温はゲレンデトップ・標高2000mでも
プラス3度ほどの予報が出ていたので、少しでも雪の状態がいい時間に
滑り降りてこようとリフト運行を待たず、登行開始だ。
ゲレンデからも乗鞍山頂が良く見える。
AM7:50 ゲレンデトップ着 標高2000m
登り始めて1時間、なんだか体の調子がいまいち。
全身のだるさと両腕のわずかな痺れ。
熱はなさそうだが最近感じたことのない体の違和感。
無理をせず、ペースを落としていこう。
ここからは管理区域外のツアーコースが始まる。
森林限界までの標高差350m程の林間コースだ。
ツアーコース入口の急斜面が見えている。
先行者のトレースはスキー1人と登山者の二人組のようだ。
最初の急斜面を登りきると、程なく1番標識。
この看板がツアーコース終点の6番まで続く。
2番標識
3番標識
このあたりから剣ヶ峰が大きく見えてきた。
4番標識
ここを過ぎてしばらくすると右手には北アルプスの山並み
右に前穂高岳、左は奥穂高岳
剣ヶ峰山頂付近から舞い上がる雪煙
AM9:15 6番標識
この先は森林限界となり強風に晒されることになる。
今回の計画前、BCの大先輩でもある、うっち~さんから
事前に色々とアドバイスをもらっていた。
・今日は強風が予想されそうなので、森林限界を出る前に上着を着込んだり、
行動食を食べたりと準備をした方がいい。
風速20m/sの強風下ではそんなことは出来ないだろうから。
・位ヶ原はほとんど目標物のない広い雪原。位ヶ原を登行しながら、
帰り道であるツアーコース入口をしっかりと確認しておく。
南側には沢があるので絶対に迷い込まないように。
その他、乗鞍の素晴らしさも一杯教えてもらった。
アドバイスに従い行動食の補給をして厚手のグローブを嵌め、フリースを着込む。
そしてアウターウェアのベンチレーターを全て閉める。
15分の休憩後、位ヶ原への急斜面に差し掛かる。
その手前にある看板。
ここを右手にある赤旗沿いに進むと位ヶ原小屋だ。
強風に舞い上がった雪が斜面を駆け下りて体に降りかかる。
一番トレースであろう山スキーヤーが早くも滑り降りてこられた。
急斜面を登り切ったそこは一面の雪原、位ヶ原だ。
中央の大きな鞍部・肩の小屋を境に、
左手には剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳の3山
右手にはようやく姿を見せてくれた摩利支天岳と富士見岳
さらに北を望めば穂高連峰
その左奥には槍ヶ岳が確認出来るが、穂先はわずかに霞んでいる。
南には御嶽山~中央アルプスが望めるのだが、
黄砂の影響に霞んでいるのが残念だ。
位ヶ原の雪原は一面のシュカブラ
昨晩わずかに降った雪も風に飛ばされたようで、
カリカリの状態となっている。これは帰りの滑りに苦労しそうだ。
そんなシュカブラは強風にさらに大きく成長中~
強風に晒されながらのシール登行であるが、雄大な景色にテンションは最高潮。
剣ヶ峰が間近かに迫ってくる。
摩利支天岳から続く長大なスロープ、ここを滑ったら気持ちだろうなぁ~
AM10:45 肩の小屋口 到着 標高2610m
見上げる肩の小屋への稜線からはさらに強い風が吹き下ろしている。
小屋で風を避けながら、ヘルメット+ゴーグルを装着し防風体制を強化。
スキー板にはクトー(スキーアイゼン)も装着した。
体調は幾分良くはなってきたが、足の疲労感がいつもよりも早くやってきた。
やはりどこかが変だ。
ザックにはアイゼンとピッケルも忍ばせてあったが、こんな体調では山頂登頂は到底無理。
しかもこんな強風下でスキー板を背負ってでは危険過ぎる。
最終地点を肩の小屋と定め、シール登行を再開する。
風は15~20m/sほどであろうか。強風を受けた体が後ろに持って行かれそうになるが、
クトーが程よく効いてくれて、なんとか前に進んでいける。
雪面の状況は様々だ。
シュカブラ、ウインドクラスト、しまり雪。
AM11:40 肩の小屋到着 標高2760m
見上げる剣ヶ峰は、圧倒的な迫力で迫っていた。
照りつける太陽に雪面がギラギラと輝いている。
先行者である登山者が朝日岳直下をトラバースしていく様子が見えるが
斜面が氷化してるのか、苦労しているようだ。
シールを剥がし、ブーツのバックルを閉める。
ブーツのヒールのレバーを滑走モードに切り替え、
ビンディングのヒールを固定する。
この一連の作業もだいぶ慣れてきたようだ。
そして高まる緊張感と期待感。
いよいよ乗鞍岳での初BCスキーだ。
シュカブラを避けて、登行時に確認した滑りやすい面を滑っていく。
斜度も程よい程度なので、短いながらも気持ちいい滑りが楽しめた。
肩の小屋口で一息入れると、そこには沢山のBCスキーヤー&ボーダーが
装備を替えていたり、シールを剥がしていたりと賑わっている。
「最高の天気ですねぇ~ 雪はシュカブラだらけで滑り難いけれどね」
なんて会話を交わしながら、摩利支天岳を仰ぎ見ると、
数名の山スキーヤーがあの長大なスロープを登っているようだ。
シュカブラと格闘しながら、位ヶ原を滑り降りていく。
次々と登ってくる人がいるお蔭で帰り道をロストすることもない。
ツアーコースに戻ってきた。
気温はプラス℃、さらに昨夜の黄砂により完全なストップスノー。
板が全く走らない。
ツアーコースで折り返したらしいスキーヤーのトレースに合わせてると、まだ板が滑ってくれるが、
少しでも外れるといきなり前のめりを食らう。
まったく楽しめない滑りだ。
ゲレンデトップから先は整備されているので、黄砂の影響は少しましにはなったが、
完全に春スキーの様相のベチャ雪にほとんんど直滑降で、
AM12:40 国民休暇村到着です。
登り5時間、下り1時間弱の所要時間。
雪こそ期待外れではあったが、3000m級の最高の景色を
堪能出来て、満足の一日であった。
地形の様子もほぼ把握出来て、大収穫でもあった。
春山スキーはこれからが本番、また訪れたい乗鞍岳BCな一日であった。
そして、「湯けむり館」の乳白色の温泉で疲れを癒し、
大阪までの5時間ドライブがまた始まるのであった。
・体力温存のためにもゲレンデトップまでのリフト登行も視野に入れよう。
・スマホアプリ「山旅ロガー」だけならバッテリー目盛は一つだけの減。
(機内モード設定、スマホに使い捨てカイロ貼付)
・森林限界の強風下(外気温-4℃、風速10~15m/s)ではスキーパンツの下に
モンベル・スーパーメリノウールEXP.だけでは少し寒かった。
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